祈りについて

日本人は古来から祈ってきた


祈り 私たちは様々な方法で古来より祈ってきました。人は自分を超越した大自然に対して非力であり、できることは限られています。祈りの原点は自分を超えた偉大なる存在に対する感謝の気持ちから始まりました。神道や仏教では超越した根源を神や仏と呼んで祈りを体系化したといえます。

神様へ申し上げる言葉「祝詞(のりと)」

祈詞 祝詞(のりと)とは、ご祈祷のときに神職が神様に申し上げる言葉です。祝詞にはたくさんの種類がありますが、多くの祝詞に「祓いたまえ、清めたまえ」という文言が見られるように、罪や穢れを祓うものです。神道では仏教と違って特別な唱え言葉はありませんが、日常のおまいり言葉として「祓い給え、清め給え、神(かむ)ながら守り給い、幸(さきわ)え給え(お祓いください、お清めください、神様のお力でお守りください、幸福にしてください)」と唱えるとよいでしょう。古来から日本では言葉には霊力が宿るという「言霊(ことだま)」信仰があるので、神棚を拝むときや神社をおまいりするときに、声に出して唱えてみましょう。



玉串(たまぐし)・榊(さかき)について

木綿(ゆう)をつけた榊の枝 多くの神社は、森の中にあります。森は生命力に満ち溢れた場所として信仰の対象であり、神様が降臨する神聖な場所でした。祈祷の際に神様にささげる玉串(たまぐし)は、森を象徴するもので、常緑樹の榊(さかき)が使われます。神棚に飾るのも榊です。冬も枯れることなく青々とした葉をつける榊は、森の生命力の象徴ですから、神棚にはいつも新鮮な榊を飾るようにしたいものです。



三蔵法師が翻訳した「般若心経(はんにゃしんきょう)」

般若心経 仏教にはたくさんの経典がありますが、一般にもっとも身近なお経が「般若心経(はんにゃしんきょう)」ではないでしょうか。「般若心経」とは「大般若経」というお経のコンパクト版です。「大般若経」は600巻もあるサンスクリット語で書かれたお経で、これを漢字に翻訳・要約したものが「般若心経」です。日本の「般若心経」は、西遊記に登場する玄奘三蔵(三蔵法師)が翻訳したもので、西遊記のなかでも魔物退治に絶大な威力を発揮しています。そのため玄奘は「般若心経」を終生大切にしたといわれ、その魔よけの効力のために、現在の私たちにとっても身近なお経となっているのです。



宗派によって多彩な祈りの方法

仏教の祈り 仏教にはさまざまな宗派があるため、祈りや修行の方法もバラエティーに富んでいます。禅仏教では、仏様の境地に近づくため、自ら心のくもりを取り除かなくてはいけないということで、座禅を組みます。密教系では、仏様になりきることで仏様の言葉を理解しようと考えるため、大日如来の教えである真言(しんごん)と呼ばれる呪文を唱えます。浄土系では、阿弥陀様の助けを借りて浄土へ行くことを祈るので、「南無阿弥陀仏」を唱えて来世に救いを求めます。日蓮宗では法華経を信奉することから、「南無妙法蓮華経」と唱えることで、現世の救いが得られるとされています。